母というもの

ムスメが「お母さんは甘いよねー。勉強しろとも言わないし」と言うので

「うん、甘えさせてあげられるのって親しかいないよね？」と言ったら妙に納得していた。

「なんでそんなに甘いん？」と訊くので

「んー、かわいいから・・かな」と言うと妙に照れていた。

世の中は厳しい。

叱られることもたくさんだ。

いい人ばかりじゃないし

嫌な大人はわんさかいるし

小さな意地悪もたくさんある。

そんな荒波のなかを漕ぐ小さな舟に

厳しくすることは簡単だ。

でもね、躾とは作法なのよ…

私は、世の中はいいところだよと伝えたい。

私を選んで、私を笑顔にするために生まれてきた子供たち。

かわいいかわいいと小さい頃は育ててきた。

子どもはいつまでも母の腕のなかにはいない。

だから、できるだけ優しく、はちみつみたいに甘く、しんどいことからは逃げる術も教えたいと思う。

がんばらなくてもいいよ。

人は、がんばらなくてはいけない時が必ず来るから。

その時まで、あたたかい場所にいたらいい。

守られて。

私も母に守られて育った。

甘い甘いはちみつをかけられて。

それと、ムスメよ。

母は、君たちを甘やかしてはいないよ。

優しくしているだけ。

そして、ムスメよ。

君も母親になればわかるよ。

母親とは、涙に近い場所にいることを。

君たちにいい出会いがたくさんあるように

世界中の誰よりも願っているよ。