朝の不思議

朝のさんぽで顔見知りになった方が何人かいる。

最初は、挨拶だけだったのがお天気の話をするようになって、お互いの名前や家も知るようになった。犬の散歩をしているおばあちゃんは、時々わたしに野菜を持たせてくれ、お礼に手づくりのマスクを手渡したりして仲よくなった。

もう一人の方は、朝のウォーキングを楽しんでいるとっても元気な女性。お話もおもしろく、立ち話でゲラゲラ笑うこともある。反対側の道のずっと遠くにいても、両手を大きく振って「おはよー！」と合図してくれる爽やかさんだ。

黙ってすれ違ってしまえば他人のままだろうけど、縁というのは不思議で、それは朝のなせる技のような気がする。夕方のさんぽでは、そう仲良くならない。夕方はみな忙しく、仕事に疲れ、他人に目を向ける時間がないのかな。

朝はみんなが心を開く時間なのかなぁと思う。それに元気だし。

こないだ、おばあちゃんの犬を男の人が撫でていた。それが毎日の日課みたいで、おばあちゃんの犬もうれしそうにしていた。朝は知らない同士もこんなに距離が縮まるんだなぁ。

私たちひとりひとりは点であるけれど、ちょっとしたきっかけで線になるね。

その線がゆるやかにしなって、どこまでも続いていけばいいよね。

あ、それと、朝のさんぽは誰もマスクをしていない。それでも笑い合う。朝の空気はうつくしく、山からウグイスの声、海からはカモメの声がして、何とかのハーモー二―や～って感じです。